
皆さんこんにちは!
新潟県糸魚川市にてお米をはじめとする農作物を育てている
吉農園、更新担当の富山です。
土づくりと同じ時期に、もう一つ欠かせない大事な作業があります。
それが「種もみの準備」です。
稲作においては、最初にどんな種を選び、どう扱うかが、その年の収穫を大きく左右します。
小さな一粒の種が、のちに広大な田んぼを黄金色に染める――その始まりがこの工程なのです。
種もみはすべてが同じ品質ではありません。中には不完全に育った粒や病気にかかった粒も混ざっています。そのまま使うと発芽がそろわず、苗が弱々しく育ってしまいます。
そこで行われるのが「塩水選」です。塩を溶かした水に種もみを入れると、充実して重い粒は沈み、軽い未熟な粒は浮きます。浮いた粒を取り除き、沈んだ粒だけを残すことで、強い苗に育つ可能性が高まります。
この方法は昔から受け継がれてきた知恵で、シンプルながら効果抜群。まさに“苗づくりの第一関門”です。
選び抜かれた種もみも、そのままでは病気のリスクがあります。苗立枯れ病などにかかると、せっかくの努力が水の泡になることも。そこで、薬剤での消毒や「温湯消毒」が行われます。
温湯消毒は、60℃前後のお湯に種もみを一定時間浸ける方法。病原菌を死滅させる効果があり、薬剤を使わないので環境にも人にも優しいと注目されています。近年ではこの方法を取り入れる農家も増えています。
消毒を終えた種もみは「浸種」と呼ばれる工程に移ります。数日間水に浸けて吸水させることで、芽が出やすい状態にします。水温や浸ける日数は地域や気候によって調整し、農家の経験がものをいいます。
次に行うのが「催芽(さいが)」。一定の温度で管理すると、小さな芽が出てきます。この芽がほんの少し顔を出した状態で播くのが理想です。発芽が揃い、丈夫な苗が育つ確率がぐんと高まります。
かつては、種もみの準備は家族総出の仕事でした。
桶に種を入れて塩水で選別し、竈でお湯を沸かして温湯消毒を行い、発芽の具合を見ては一喜一憂していました。
今では機械や専用設備を使って効率的に処理できますが、「良い種を選び、ていねいに準備する」という考え方は昔から変わりません。
農家が種もみを手に取るとき、そこには特別な思いがあります。
「この小さな一粒が、秋には立派な稲穂になる」という期待です。
一粒一粒の選別や管理には、手間も根気も必要ですが、その分だけ豊かな実りにつながります。
種もみはその年の稲作を左右する重要なスタート。
「塩水選」で未熟な粒を取り除き、元気な種を選ぶ。
消毒や温湯処理で病気を防ぎ、安全に育てる準備をする。
浸種・催芽で発芽を整え、苗代に備える。
昔も今も、ていねいな種もみ準備が豊作のカギとなる。
秋の実りは、一粒の種もみに込められた農家の願いから始まるのです。
次回もお楽しみに!
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私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。
ぜひ求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!
皆さんこんにちは!
新潟県糸魚川市にてお米をはじめとする農作物を育てている
吉農園、更新担当の富山です。
稲作の一年は「土づくり」から始まります。
冬の間に眠っていた田んぼに春の光が差し込み始める頃、農家は新しい一年の準備に動き出します。
土づくりは単なる準備作業ではなく、稲の成長を左右する“基礎工事”のようなものです。
丁寧に行えば行うほど、秋に黄金色の稲穂が揺れる光景が待っています。
冬の間、田んぼの土は雪や霜、雨にさらされてカチカチに固まります。そのままでは水が浸透しにくく、根も張りにくい状態です。春になると、まずトラクターや耕耘機を使って土を深く耕します。これを「荒起こし」と呼び、固まった土をほぐすと同時に、地中に空気を送り込みます。
空気が入ることで土中の微生物が活発になり、分解作用が進んで肥沃な土になります。昔ながらの田んぼでは牛や馬を使って耕す風景もありましたが、今は機械化が進み、より効率的に行えるようになりました。
耕す作業と並行して欠かせないのが肥料の投入です。
稲が元気に育つためには、バランスの取れた栄養が必要です。
三大要素と呼ばれる「チッ素・リン酸・カリウム」を中心に、それぞれ役割があります。
チッ素:葉や茎の成長を促し、青々とした稲を育てる。
リン酸:根の発達を助け、丈夫な苗にする。
カリウム:病気や気候への耐性を高める。
さらに、米ぬかや堆肥、鶏ふん、牛ふんなどを組み合わせて使う農家も多いです。
化学肥料だけに頼らず、有機物を取り入れることで土の持つ力が引き出され、長期的に田んぼが健全な状態を保てます。
耕して肥料を入れた後に行う大事な作業が「代かき」です。
田んぼに水を張り、泥状にかき混ぜて表面を平らにします。これにはいくつもの効果があります。
水が田んぼ全体に均等に行き渡る
雑草の芽を抑える
苗を植えやすくする
代かきは仕上げのように見えますが、稲が根をしっかり張るために非常に重要な工程です。
「代かき八分」という言葉があるように、稲作の成否を8割決めるとまで言われています。
かつては人力で鍬を使い、家族総出で土を起こしていました。
腰をかがめて延々と続ける作業は重労働で、春の田んぼには人の声と汗があふれていたといいます。
今はトラクターやロータリーの普及でずっと効率化されましたが、「土を大切に扱う」という考え方は昔も今も変わりません。
農家にとって土づくりは、秋の収穫を思い描きながら行う大切な儀式でもあります。
土を耕すたびに「今年もいいお米が育ちますように」と願いを込め、肥料を撒くたびに「稲に力を与えよう」という気持ちで取り組んでいます。
土づくりは稲作の基礎であり、一年の成否を左右する。
耕すことで土を柔らかくし、空気を入れて微生物を活性化させる。
肥料や堆肥で栄養を整え、稲が育ちやすい環境をつくる。
代かきで水と土を均一にし、苗が根を張りやすくする。
昔も今も「土を整えること」は農家にとって大切なスタート。
秋の豊かな実りは、この春の土づくりから始まっているのです。
次回もお楽しみに!
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新潟県糸魚川市にてお米をはじめとする農作物を育てております。
私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。
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